2018年7月2日月曜日

<TPP11>農家懸念なお強く 政府、打撃緩和策盛る

米国を除く11カ国が署名した環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の関連法が29日、参院本会議で与党などの賛成多数で可決、成立した。協定は早ければ年明けにも発効する。TPP発効で貿易や投資促進が期待される一方、農業関係者は安い農畜産物が海外から流入することになお懸念を募らせている。TPP関連法には畜産農家への補助拡充を盛り込み、打撃を最小限に抑える考えだ。

TPPが発効すれば、関税が下がって価格競争力の高い海外の輸入農畜産物の影響で、競合する国産品の価格にも下落圧力がかかることになる。農林水産省の試算では、生産額は約900億~1500億円減少すると見込んでおり、特に影響が大きいのが、牛肉(約200億~399億円)▽豚肉(約124億~248億円)▽牛乳・乳製品(約199億~314億円)になるとみられる。

一方、関連法の国会審議では、7月にも予定される新しい日米貿易協議を控え、さらなる農業への打撃を懸念する声が相次いだ。協議を担当する茂木敏充経済再生担当相は「農業分野はTPPで各国と合意したラインが最大限(の譲歩)だとの姿勢で臨む」と繰り返し、理解を求めた。今月28日の参院内閣委員会は「(日米の新協議で)TPPの合意水準を上回る米国からの要求は断固として拒絶する」と政府に求める付帯決議を採択した。

関連法成立を受け、北海道更別村の酪農業、出嶋辰三さん(60)は「酪農家は全国で減少し、国内対策はさらに必要となる。それなのに関税を下げて大丈夫なのか。本当に政府の試算程度ですむのか疑問だ」と憤る。JA全中の中家徹会長は「農産物の輸入動向や生産現場への影響を注視していく」とコメントした。毎日新聞より

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