6月27日から8月2日まで、ハワイ・オアフ島や周辺海域で、環太平洋合同演習「リムパック2018」が行われている。日米を含む25カ国が参加し、世界最大規模の演習にふさわしく、連日熱い訓練が洋上で繰り広げられている。
海上自衛隊は、ヘリコプター搭載護衛艦「ひゅうが」型の2番艦「いせ」を参加させた。今回もHA/DR(Humanitarian Assistance/Disaster Relief=人道支援活動/災害救援)において中心的役割を果たした。
大震災に見舞われた架空のグリフォン国を助けるシナリオで、日米を中心に数カ国が参加した。7月13日には、負傷者をヘリで洋上の「いせ」まで運びこみ、応急手当てなどを実施する訓練も行われた。
7月20日には、「いせ」に搭載された艦対空ミサイル「ESSM」(射程30~50キロ)の射撃訓練も行われた。これまで海自護衛艦に搭載されてきた艦対空ミサイル「シースパロー」の発展型で、米レイセオン社が開発・製造した。
カウアイ島沖には、PMRF(Pacific Missile Range Facility=太平洋ミサイル射場)と呼ばれる巨大な「海の射爆場」がある。エリア内には、海中を含めてセンサーが張りめぐらせてある。目標に命中させるだけでなく、どのような航跡を経て、どれくらいのスピードで標的まで近づいたか、確実に撃破できる命中であったかなど、細かくモニタリングできる。
日米はここで、弾道ミサイルを撃墜できるイージス艦搭載型艦対空ミサイル「SM-3ブロックIIA」の実射も行っている。
この日は、カウアイ島のバーキングサンズ基地から、2つのBQM標的機が打ち出された。
敵ミサイルを模した標的機は、「いせ」を攻撃すべく距離を縮めていく。艦内マイクでは、敵ミサイルが近づいていることが告げられた。艦内に緊張が走る。目標探知に成功すると、これを撃墜すべく、艦対空ミサイル「ESSM」の発射準備にかかる。
「ひゅうが」型の後部甲板には、「ESSM」を収めたVLS(垂直ミサイル発射システム)が埋め込まれている。
発射の号令がかかると、2カ所のVLSの蓋が開いた。1つがミサイルの入ったキャニスター、もう1つが排気用だ。まずブースターに点火され、炎と煙がVLSから吹き上がる。それから1秒程度時間を置いて、真っ白いミサイルが飛び出していった。
煙の尾を引きながら蒼空へ上昇を続ける。立て続けに、もう1つの標的機に対し、同じ手順でもう1発が発射された。
2発のミサイルは目視では追えない距離へと飛んでいった。すると、水平線上に直径1センチにも満たない煙の輪が見えた。見事、標的機を撃墜した瞬間だった。
■菊池雅之(きくち・まさゆき) フォトジャーナリスト。1975年、東京都生まれ。講談社フライデー編集部を経てフリーに。陸海空自衛隊だけでなく、米軍やNATO軍、アジア各国の軍事情勢を取材する。著書に『自衛隊の戦力-各国との比較』(メディアックス)、『陸自男子-リクメン』(コスミック出版)など。夕刊フジより
ぼちぼちと生きているので、焦らず、急がず、迷わず、自分の時計で生きていく、「ぼちぼち、やろか」というタイトルにしました。 記載事項は、個人の出来事や経験、本の感想、個人的に感じたことなど、また、インターネットや新聞等で気になるニュースなどからも引用させていただいています。判断は自己責任でお願いします。
2018年7月28日土曜日
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