安倍晋三首相は1日午後(日本時間2日未明)、アルゼンチンのブエノスアイレスで、ロシアのプーチン大統領と約45分間会談した。両首脳は、北方領土問題を含む平和条約締結交渉の責任者を河野太郎外相とラブロフ外相とする新たな枠組みを設けることで合意。来年1月の首相訪露前に外相会談を開く方針で一致した。日本は、歯舞群島と色丹島の2島返還に国後、択捉両島での共同経済活動などを組み合わせた「2島返還プラスアルファ(+α)」案を軸に交渉に臨む構えだ。
両首脳は、具体的な交渉を進める担当者として、森健良外務審議官を首相特別代表、モルグロフ外務次官を大統領特別代表に任命した。日本政府は、首相訪露の際に具体的な進展を得たい考え。安倍政権内では「ロシアが軍事化を進める国後、択捉両島の返還は困難」との見方が大勢を占め、より現実的な「2島+α」論が強まっている。
両首脳の会談は、先月14日のシンガポールでの会談に続き24回目。先月の会談では、「平和条約締結の後、歯舞群島と色丹島を日本に引き渡す」とした日ソ共同宣言(1956年)を基礎に交渉を加速させることで一致した。今回は、具体的な交渉の枠組みなどについて議論した。通訳だけを交えた両首脳の「1対1」の会談はなかった。
首相は会談冒頭、「平和条約の問題を中心に、しっかりと議論したい」と語った。両首脳は、平和条約交渉を巡る新たな交渉の枠組み設置のほか、安全保障分野での協力を進めることでも一致した。一方、ロシア国境警備隊によるウクライナ海軍艦船の拿捕(だほ)について、首相は懸念を表明し、「双方の当事者が自制し、船舶乗組員の早期釈放を含め、事態が沈静化に向かうよう期待する」と述べた。
プーチン氏は、会談後の記者会見で、両国が協議してきた北方領土での共同経済活動について「人道的な接触と経済的なつながりを拡大していき、両国の信頼度を向上させていく必要性も話し合った」と語った。また、首相訪露に関連し、自身が訪日する可能性に言及。来年6月に大阪で開かれるG20首脳会議への出席を示唆したとみられる。
安倍晋三首相とロシアのプーチン大統領による首脳会談のポイントは次の通り。
・平和条約締結交渉を加速させるため、河野太郎、ラブロフ両外相を交渉責任者にする。
・両外相は、首相が来年1月にロシアを訪問する前に会談する方向で調整する。
・交渉担当者として、森健良外務審議官を首相特別代表、モルグロフ外務次官を大統領特別代表にそれぞれ任命する。
・首相はロシア国境警備隊によるウクライナ艦船拿捕(だほ)に懸念を表明した。
yahooニュースより
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2018年12月3日月曜日
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