「韓国側警備艦による日本漁船への一連の行動は、明らかに日韓漁業協定に反しており、わが国としては断じて受け入れることができない」
菅義偉(すが・よしひで)官房長官(69)は11月22日の記者会見で、韓国側の警備艦から日本の漁船に操業中止などを求めたことを強く批判した。
問題が起きたのは11月20日夜。日本の排他的経済水域(EEZ)内の大和堆周辺で操業中の日本のイカ釣り漁船「第八十五若潮丸」に対し、韓国海洋警察庁警備艦が無線を通じ、操業中止と海域移動を求めた。
海上保安庁の巡視船がこの無線を確認し、韓国警備艦に「日韓漁業協定上、要求は受け入れられない」と通知。現場は日韓の暫定水域だった。
外務省は翌21日、外交ルートで韓国側に抗議したと発表した。菅氏によると、韓国外交部からは「海洋警察庁の警備艦が日本漁船に管轄権を行使したことは遺憾で再発防止に努めたい」旨の反応があったという。韓国側が誤りを認めた形だ。
11月15日には日韓漁船による事故も起きた。午前9時35分ごろ、石川県の能登半島から北西約250キロにある日本のEEZ内の大和堆周辺で、山形県の酒田港に所属するイカ釣り船「第38正徳丸」と韓国の漁船「3088MUNCHANG」が衝突した。けが人はいなかった。
イカ争奪戦
大和堆周辺はイカなどの好漁場として知られ、最近は北朝鮮船の違法操業も問題化している。イカをめぐって近隣国と争奪戦に発展し、漁船が入り乱れて混乱を極めている状況だ。
韓国紙の中央日報日本語版は、日韓漁船の衝突事故を報じる記事で「大和堆には韓国と日本のほか、北朝鮮や中国の漁船までが集まり、一触即発の状況が発生することもある」と指摘している。
問題の「暫定水域」は、平成11年に発効した新たな日韓漁業協定で設けられたものだ。協定では、竹島周辺は韓国が領有権を主張しており、操業条件の設定や違法操業の取り締まりができるEEZの境界が決められず、周辺海域を暫定水域に指定。両国がそれぞれのルールに従って操業できるよう取り決めた。
背景には、両国の境界線の画定には時間がかかるとの判断がある。両国は「日韓漁業共同委員会」を設け、漁業資源などを共同管理することも決めた。
漁業活動を安全に行うためのルールづくりが求められるが、そのためのやりとりは「基本的に漁業者任せ」(別の政府関係者)になっているのが現状だ。北朝鮮の違法操業などを排除する取り組みの強化はもちろんだが、日韓政府は早急に暫定水域の取り決めの交渉にも本格的に乗り出す必要がある。産経ニュースより
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