2017年9月17日日曜日

北ミサイル 垣間見える正恩氏の意図

北朝鮮が15日に強行した日本越しの弾道ミサイル発射の裏には、金正恩朝鮮労働党委員長のさまざまな意図と計算が垣間見える。
 
「米国の執権者らに再び忠告する」。党機関紙、労働新聞は15日、論説でこう前置きし続けた。

「国を破滅の泥沼に追い込みたくなければ、朝鮮半島問題から手を引く賢明な選択をすべきだ」

北朝鮮がトランプ米政権に求めてきた「正しい選択」の中身もまさに「朝鮮半島に手を出すな」ということだ。米領グアム沖へのミサイル発射計画を公表したのも、グアムが朝鮮半島に急派される戦略爆撃機の出撃拠点だからだ。米韓軍事演習など半島への介入から手を引かなければ、前線基地をたたくとの脅しだ。

今回、ミサイルは約3700キロ飛行し、方向を変えれば、平壌から約3350キロのグアムに十分届くと実証してみせた。8月29日の中距離弾道ミサイル「火星12」の発射では、飛距離は約2700キロにとどまり、目標水域に達しなかったとの分析もあった。

ただ、実際にグアム沖に撃ち込めば、米国へ“宣戦布告”をするようなもので、迎撃される危険もある。制限した方向への発射で、米国への過度な刺激を避けつつ飛行距離を伸ばすという計算が読み取れる。

8月の発射と同様、平壌の国際空港がある順安付近から発射したとされることも宣伝効果を狙った選択とみられる。日米韓は、ミサイルの発射準備を継続的に捕捉しており、国際社会の監視下での強行だった。

金正恩政権は、核やミサイル実験の功績と国連制裁を主導した米国への対決姿勢を喧伝(けんでん)し、内部結束につなげようとしている。首都・平壌は、「新たな成功」を市民に印象づけるのに格好の“舞台”といえた。

大陸間弾道ミサイル(ICBM)完成に不可欠とされる弾頭部分の大気圏再突入技術について、韓国当局は、未確立だとみている。金正恩政権は、制裁による経済への影響が拡大する前に、技術を確立したとトランプ政権に見せつける必要にも迫られている。

制裁決議前、北朝鮮外務省は「米国が考えもしない強力な行動措置を連続的に講じる」と警告していた。来月10日の党創建記念日などに向け、ICBMや新型潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の発射といったさらなる軍事的挑発に踏み切る可能性は高い。  
夕刊フジより

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