2011年8月28日日曜日

乱調 世界経済

埼玉大学教授の相沢幸悦さんが世界経済を語るが、新聞に掲載されていたので引用させていただきます。(結構わかりやすく解説しているので参考にはなると思います)

乱調 世界経済

米欧の債務危機の深刻さを機に世界同時株安や異常な円高が起きています。世界経済の現状をどう見るか、識者が語ります。

円ドル相場は8/19日ニューヨーク外国為替市場で等々1㌦75.95円の史上最高値をつけました。いよいよ1㌦70円台の超円高時代に突入しました。どうしてこうなったのでしょうか。
要因の一つは、アメリカの景気失速がはっきりしてきたこと、もう一つは、ヨーロッパ諸国の財政危機が深刻化している事なのです。米ドルが駄目なら、ユーロに資金がシフトしそうなものですが、ヨーロッパがガタガタしているので、日本、スイス、価値を有する金(ゴールド)などに大量の資金が逃避しています。そこで、超円高やスイス・フラン高となり、金価格も暴騰しています。

財政出動できず

超円高の要因の一つである、アメリカ景気の減速が、はっきりしているのに、政府はさらなる財政出動が出来なくなりました。連邦債務上限の引き上げについての米議会の合意で、上限の引き上げ幅は、財政赤字削減額を上回ってはならないとされたからです。
アメリカでは、住宅バブル期に住宅価格が上昇で得た資金が消費に回り、好景気が訪れました。バブルが崩壊し、その消費分が消滅したので、景気が著しく悪化し、失業者(9%台)も激増しました。そこで、オバマ政権は、巨額の景気対策を断行しました。
それもほぼ終了しました。それを見越して、中央銀行である米連邦準備制度理事会は、昨年11月に膨大な資金を市場に供給する量的緩和(QE2)を実施しましたが、今年6月に打ち切りました。財政出動と中央銀行資金の追加供給が無くなれば、景気が失速するのは当然です。
QE2は、新興国バブルを加速させたと批判されているので、アメリカには、景気へのてこ入れの手段というのは、それほど残されていないのです。

為替介入に限界

そこで、㌦安による輸出拡大で景気を高揚させ、雇用を増やそうとしています。ですからアメリカに「守って」もらっている日本は、徹底的な為替介入が出来ません、そのことをよく知っている投機筋は安心して円を買い、これも超円高の原因になっています。しかも、米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズは、財政赤字削減幅が十分ではないとして、米国債を史上初めて最上級から格下げしました。こうして、米国債の信認が揺らぎ、さらなる円高が進むとともに、世界同時株安となったのです。
超円高のもう一つの原因は、ヨーロッパの財政危機の深刻化です。昨年春にギリシャ危機が発生し、秋にはアイルランドに波及しましたが、金融支援の整備によってとりあえず終息させることに成功しましたが、ところが、そんなに甘いものではなかったのです。

欧の住宅バブル

ヨーロッパの住宅バブルもすさまじいものでした。ユーロ導入で信用力の高まったギリシャなどの国債は、格好の投機商品となりました。そこで西欧大銀行はギリシャ国債などに投資しました。財政破綻したらユーロが崩壊するので、救済されると踏んだからです。
ヨーロッパの住宅バブル崩壊で、銀行救済と景気のてこ入れのための財政出動で、膨大な財政赤字が累積し、財政危機は、イタリア、スペインまで波及する気配を見せています。
昨年春のギリシャ危機では、ユーロの信認が揺らぎ、ユーロ安になったので、ドイツなどは、かなり好景気となりました、。ところが、今年春に財政危機が深刻化するとともに、アメリカや新興国で景気のかげりが見え始めると、ドイツなどの景気も低迷しました。
このように、欧米諸国の財政赤字の累積と景気の失速、新興国でのバブル崩壊の兆しなどによって、逃避資金が日本に大量に流れ込んで、超円高となっているのです。
財政赤字の拡大とそれに伴う米国債の格下げで、ドルの信認が失われつつあります。それにもかかわらず、資金は、株式などのリスク資産から格下げされたはずの「安全」資産である米国国債に流入しているのです、長期金利が下落(国債価格は上昇)しています。
米ドルの信認が大きく失われつつあるのに、㌦に代わる国際通貨となることを期待されて導入されたユーロは、残念ながら崩壊する懸念されるようになっています。通貨の発行は欧州中央銀行(ECB)が行うものの、財政政策は各国が行うという乖離によるものです。この欠陥を克服するためには、政治統合、すなわち欧州連邦を結成するしかありませんが、非常に困難がつきまといます。

犠牲は労働者に

輸出大企業は円高で為替損失を被ることを理由に、税金を負けてくれととか、規制を緩和してくれとかいい、円高を口実に労働者や下請け中小企業に犠牲を強いてきました。
実は、日本の輸出度は言われるほど高くないのです。輸出は円建てで、輸入はドル建てでが主流です。円高で輸入価格が低下し、国民は円高メリットを享受できます。ほとんどの企業は、石油や原材料を低コストで調達できるので、原材料コストが大幅に低下し、企業収益は、言われるほど減らないはずです。

消費と物作り

円高で一喜一憂するのは、内需拡大による経済成長が出来ていないからです。貿易黒字でなく、個人消費に重点を移せばいいのです。賃金引き上げ、労働条件の改善、福祉と年金の充実、長期休暇の付与、財政の無駄の排除などを断行して、安定した経済成長は可能です。
日本は、世界に冠たる製造業を持ち、物作り国家として高く評価されています。いい物作り国家は、構造改革期に消滅しそうになりましたが、国民の反発で持ちこたえたのです。
日本は深刻なデフレと超低金利というのも超円高の要因です。「平成大不況」がまだ終息していないからです。経済のシステムの大転換が必要であるにもかかわらず、政府は、それを怠ってきました。

危機の終結には

現下の危機は、16世紀に登場した西欧近代の終焉を告げるものです。西欧近代は、一握りの先進国が他国の資源を超低価格で収奪し、労働者を搾取して経済成長を競い、大量生産、大量消費、大量破棄に明け暮れる時代でした。
それ以前は、日本や中国、インドで高度の文化が花開き、経済もアジアが中心でした。信じられないことですがヨーロッパは、世界の「辺境」に過ぎなかったのです。
今後は地球環境のと人間に優しく災害に強いシステムに移行します。これが世界史の必然です。この経済システムに移行することにより、世界経済危機も「平成大不況」も最終的に終結する。

欧州型の経済システムでは今の危機は、回避できないと言うことです。地球に優しく日本の内需を拡大することにより、今の経済危機を回避することは可能だと教授は述べています。一日も早く、その様な経済システムの構築を急がなければならない時期に来ている。

0 件のコメント:

コメントを投稿

日産ケリー前代表取締役の保釈決定 保釈金7000万円 東京地裁

金融商品取引法違反の罪で起訴された日産自動車のグレッグ・ケリー前代表取締役について、東京地方裁判所は保釈を認める決定をしました。検察はこれを不服として準抗告するとみられますが、裁判所が退ければ、ケリー前代表取締役は早ければ25日にもおよそ1か月ぶりに保釈される見通しです。一方、...