ドナルド・トランプ米大統領が、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領と、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長による南北首脳会談の結果に「歓迎の意向」を表明した。
米国が求める「北朝鮮の非核化」とは大きな乖離(かいり)があるが、11月の中間選挙を見据えた計算とみられる。ただ、米国では懐疑的な見方が強く、トランプ氏がいつ豹変(ひょうへん)してもおかしくはない。
「北朝鮮と韓国から、素晴らしい知らせがもたらされた。大きな進展があった」
トランプ氏は19日(米国時間)、記者団に南北首脳会談の感想をこう語った。
マイク・ポンペオ国務長官も同日、会談を「成功」とする声明を発表し、米朝交渉を即時再開する用意があると表明した。さらに、北朝鮮の李容浩(リ・ヨンホ)外相に対し、ニューヨークで来週に開かれる国連総会に合わせた会談を呼び掛けた。
だが、会談結果は米国を満足させるものとは到底言えない。
会談で合意した「9月平壌(ピョンヤン)共同宣言」では、非核化措置として、米国の相応の措置を条件に、平壌北方の寧辺(ニョンビョン)にある核施設の永久廃棄など追加措置を取るという内容が盛り込まれた。事実上、米国から、朝鮮戦争(1950~53年)の「終戦宣言」などの見返りなしには、非核化に取り組まないという宣言に等しい。
トランプ氏は6月の米朝首脳会談で、正恩氏から非核化の約束を引き出した。だが、北朝鮮は非核化への具体的行動を取らず、米朝関係は一時悪化した。文氏は今回、米朝の仲介者として訪朝した。トランプ氏としては、11月の中間選挙を見据えて「様子見」の心境とみられる。
現に、米国の保守派の中には今回の南北首脳会談自体に、懐疑的な見方すらある。
共和党の重鎮、リンゼー・グラハム上院議員は会談中の18日、ツイッターに「北朝鮮に対する最大限の圧力を課しているポンペオ氏らの努力を壊すのではないかと懸念している」と投稿した。
その懸念通り、南北首脳会談には、南北経済協力事業の再開など北朝鮮を利する内容がいくつも盛り込まれた。今後も不満が広がることは必至で、トランプ氏の判断に影響を与える可能性がありそうだ。夕刊フジより
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