2018年9月21日金曜日

人のiPS細胞から卵子のもと「卵原細胞」京大が世界初の作製に成功

ヒトの人工多能性幹細胞(iPS細胞)を利用し、卵子のもとになる卵原細胞を培養だけで作ることに世界で初めて成功したと、京都大の斎藤通紀教授(細胞生物学)らのグループが発表した。20日付の米科学誌サイエンス電子版に掲載された。
 
グループはこれまでにマウスのiPS細胞から卵子や精子、ヒトのiPS細胞から卵子や精子のもととなる「始原生殖細胞」の作製に成功。ただ、ヒトについては、その後の分化は再現できていなかった。今回の成果について斎藤教授は、「ヒトの始原生殖細胞が(卵子のもとになる卵原細胞などの)生殖細胞になることがはっきり証明された」と説明。卵原細胞の遺伝子解析が可能になることで、将来的には不妊症の原因解明など、生殖医療の発展に役立つという。

グループは、ヒトの血球由来のiPS細胞で作った始原生殖細胞5千個と、培養に必要なマウスの胎児の卵巣体細胞5万個を一緒に培養。11週間後にヒトの卵原細胞計約500個ができ、この卵原細胞が卵母細胞になる直前の状況も確認した。作製された卵原細胞の遺伝子を解析したところ、ヒトの胎児(妊娠9~11週)の体内にある卵原細胞と同じで、生殖細胞でしか起こらない現象が確認されたという。

グループは今後、さらにすすんだ卵母細胞から最終的に卵子の作製を目指す。卵子に至るまでの詳細なメカニズムの解明などが課題という。産経ニュースより

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