アルビオンは8月初旬、東京・晴海埠頭(ふとう)に寄港し、約1カ月にわたり滞在した。貿易関係者向けの展示会も開かれ、軍備品輸出に一役買った。
艦長のティム・ニールド大佐は産経新聞の取材に、「アルビオンの展開は、2018年のアジア太平洋地域で、英海軍のより大きな存在感を示すものだ」と強調した。
国連安全保障理事会による対北朝鮮制裁の履行状況の偵察任務の一環で、アルビオンは、北朝鮮のタンカーが洋上で船を横付けし石油などを移し替える「瀬取り」の監視などにも参加している。
日本にはアルビオンのほか、今年4月に英フリゲート艦「サザーランド」が在日米海軍横須賀基地に入港。年内にはフリゲート艦「アーガイル」の派遣も予定されている。アルビオンとサザーランドは今年、シンガポールにも入港しており、アーガイルも同国に寄港する予定だ。同艦は、5カ国防衛取極(FPDA)を組織する英国、シンガポール、マレーシア、オーストラリア、ニュージーランドによる共同演習への参加も控えている。
英王立国際問題研究所のビル・ハイトン客員研究員は、英艦船の展開について、南シナ海の軍事拠点化を進める中国の動きに「強く抵抗する」のが目的だと指摘する。
アルビオンは8月31日、中国が領有権を主張する南シナ海のパラセル(中国名・西沙)諸島付近を航行し、中国が反発した。
元駐韓国英大使のスコット・ワイトマン駐シンガポール英大使は7月、東南アジア諸国連合(ASEAN)関係者に向けた講演で、サザーランド、アルビオン両艦が東シナ海でも展開することで、英国が「北朝鮮に大量破壊兵器の開発をやめさせ、地域の安全保障に対する脅威を制限」すべく「懸命に取り組んでいる」と述べている。
英国はASEAN諸国との関係強化にも意欲的だ。マレーシア紙ニュー・ストレーツ・タイムズ(電子版)によると、ワイトマン氏はフィリピンとイスラム最大勢力のモロ・イスラム解放戦線(MILF)との和平交渉に英国が「重要な役割を果たした」と強調した。
フィリピンは7月下旬、南部ミンダナオ島でのイスラム教徒による自治政府樹立に向けた法案「バンサモロ基本法」を成立させた。在フィリピン英大使館は、「英国は今後数年にわたり、地域での和平交渉や社会、政治、経済の変化への支援のためしっかりと関与し続ける」との声明を出し、法案成立を歓迎した。
ワイトマン氏は同紙に、東南アジアに進出した19世紀の英国と比較し、アジアに接近する現在の英国が「前向きな変化」を見せていると指摘。「今後何年も(英国の)役割は拡大していくだろう」と結び、欧州連合(EU)離脱を控えた英国が「脱欧入亜」の動きを継続させることを示唆した。産経ニュースより
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