6度目の核実験を行った北朝鮮に対し、国連安全保障理事会は11日、制裁強化を決議した。核・ミサイルで挑発を繰り返す北朝鮮に対し、保守系米紙は圧力を強化するよう主張した。韓国メディアでは文在寅(ムン・ジェイン)大統領の曖昧な外交方針に批判が出たほか、戦術核の国内配備を求める意見が浮上。欧州では、北朝鮮に呼応してトランプ米大統領が威嚇発言を続ければ、思わぬ危機を招くという懸念が目立った。
米紙ウォールストリート・ジャーナル(アジア版)は5日付の社説で、米政府が今後、採りうる対北朝鮮政策の選択肢を示した。軍事攻撃という選択肢は、韓国や日本への反撃を招くことから「最後の手段だ」と位置づける一方、「米国はまだすべての道具を使い切っていない」として、7つの方策に言及した。
具体的には(1)他国に北朝鮮との関係を断絶させる外交(2)指導層によるクーデターや脱北を促す宣伝(3)ミサイル防衛の強化を軸とした軍事手段(4)北朝鮮の取引相手に対する経済制裁(5)ドル決済を通じた北朝鮮の対外取引を遮断(しゃだん)する金融制裁(6)北朝鮮による軍備輸出を止める諜報活動(7)北朝鮮の人権侵害を国際法廷などで訴追する法的手段-を挙げている。
こうした方策を多面的に実施することで、効果的な対北圧力をかけられ、その結果、同紙がこれまで主張してきたクーデターなどの「内部からの体制転換」につながるという期待もにじませた。
国連安保理が11日に採択した制裁決議では、米国が当初、提案していた石油の全面禁輸が、中露の反対を受けて見送られた。米国は中国の制裁履行に疑念を抱いており、米国単独で実施する金融制裁を強化させる構えをみせている。
同紙は11日付の記事で、過去の経済制裁の歴史と効果を検証。米国がイランに実施した金融制裁に比べれば、北朝鮮を対象とした制裁は、まだ小規模だという元政府高官の話が紹介された。記事は「トランプ政権は、イランを核合意の交渉の席に着かせた制裁手法の再現を望んでいる」と述べて、米国による対北制裁には、強化する余地がまだ多く残っているとの認識を示している。
米紙ワシントン・ポストのコラムニスト、ジョシュ・ロギン氏は10日のコラム(電子版)で、「北京やモスクワの協力がなくても、最大の対北圧力を発揮できる」米国単独の制裁の強化を「今こそ進めるべきだ」と主張した。 産経ニュースより
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