2017年9月18日月曜日

北朝鮮国民を制裁が痛撃

国連安全保障理事会は、核実験、ミサイル発射実験を繰り返す北朝鮮に対して、相次いで制裁を突きつけている。11日には、原油、石油の輸出制限、原油・石油精製品の輸出を制限し、北朝鮮製の繊維製品の輸入を禁じる内容が盛り込まれた制裁決議2375号を全会一致で採択した。

北朝鮮国内では、すでに制裁の影響による混乱が出始めているもようだが、制裁が庶民の暮らしを痛撃するのも時間の問題と思われる。
 
そんな中、デイリーNK取材班は13日、中国の遼寧省丹東に住む北朝鮮の貿易関係者A氏との接触に成功した。A氏は、制裁が北朝鮮に及ぼす深刻な影響について重い口を開いた。

記者「制裁決議が矢継ぎ早に採択されたが、貿易関係者の反応は?」

A氏「私の実感としては、わが国の貿易関係者の8割は仕事がなく、もどかしい思いをしている。朝中合弁事業もできなくなり、銀行口座も凍結された。労働者を送り込むなど主な外貨稼ぎの手段がすべてブロックされたため、やれることは何もない」

記者「今まで進めてきたビジネスはすべてダメになったのか?」

A氏「そうだ。最近は我が方からビジネスの話を持ちかけても中国側から断られるということが一部で起きている」

記者「あなた自身のビジネスもか?」
 
A氏「朝中貿易の仲介を行い、それで得た手数料で物資や資材を買い付け、国に送る仕事をしてきたが、それも難しくなった。収穫期を迎えたわが国では、脱穀機や農業資材を必要としているが送れなくなった。収穫に大きな影響が出るだろう」
 
記者「今回の制裁決議には繊維製品の禁輸も含まれているが、どう思うか?」

A氏「繊維製品の原材料を送ることも難しくなったため、工場はまともに稼働できなくなるだろう。体制にとってもダメージだが、一般の人民が受けるダメージはさらに大きい。まもなく冬を迎えるのに、石油の輸出制限も始まり、人民は非常に苦しむことになるだろう。北朝鮮と中国の関係が良好でこそ、人民の暮らし向きもよくなるというのに、現状では希望が見えない」

核兵器開発を強行し続ける北朝鮮に対しては、確かに圧力が必要だ。しかし金正恩党委員長の独裁体制が、庶民の犠牲の上に存続を図るのは間違いない。そもそも民主主義が存在せず、民意が体制に作用するシステムのない国に対し、経済制裁がどのような効果を生むかも不透明だ。

一般国民だけが必要以上のダメージを受けることのないよう、モニタリングを行うことが重要だ。 デイリーNKジャパンより

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