2018年12月6日木曜日

ノーベル賞・本庶氏、独ハウゼン氏「免疫療法の道開いた」と評価

本庶佑・京都大学特別教授に10日、ノーベル生理学・医学賞が贈られる。がんの分野の研究者は10年ぶりとなる。2008年に子宮頸(けい)がんの原因ウイルス「HPV」を発見した独がん研究センターのハラルド・ツア・ハウゼン名誉教授に、本庶特別教授らの成果に対する評価などを聞いた。
独がん研究センターのハラルド・ツア・ハウゼン名誉教授(ドイツがん研究センター提供)
独がん研究センターのハラルド・ツア・ハウゼン名誉教授(ドイツがん研究センター提供)

ノーベル賞を受賞する本庶氏と米テキサス大のアリソン氏の研究成果をどう評価しますか。

「がん免疫療法の道を開いた2人は称賛に値する。心を込めて本庶氏らの受賞を祝いたい」

本庶氏は「感染症におけるペニシリンの発明に匹敵する」と説明しています。

「完全には支持できない。ペニシリンの特長は多くの種類の感染症で効果があり、副作用が少なく、安価だ。この3つの基準で評価すると本庶氏らのがん免疫治療は多くの種類のがんに効果がある点のみ、ペニシリンに匹敵すると言ってもよいかもしれない」

「一方で治療の成功確率やコストはペニシリンに遠く及ばない。ただ本庶氏がノーベル賞受賞者として熱意をもって『ペニシリンに匹敵する』と発言するのは理解できる」

がんの驚異から人類が解き放たれるために、今後、科学者はどんな努力が必要ですか。

「がんを制圧するために、がんの原因を知ることが欠かせない。現在、我々が原因を正確に理解しているがんは非常にわずかだ。がんがどのように発生するか、そのメカニズムに迫る基礎研究がまだまだ必要だ」

「がんが脅威でなくなるための努力の方向性のなかでは、特に予防の観点が重要だ。がんになる前の病変の発生を予防し、手術や化学療法、免疫療法などの治療を避けられるのであればそれに越したことはない。予防につながる研究にもっと力を入れるべきだ」

HPVワクチンで子宮頸がんの予防が可能ですが、日本では副作用の疑いが顕在化して厚生労働省が5年間、勧奨を取りやめたままです。どう評価しますか。

「HPVワクチンの勧奨をやめたことは日本政府の重篤な間違いだ。HPVワクチンは通常、8~14歳の若い男女が接種しており、子宮頸がんの前がん病変の発生が劇的に減るのを今から目の当たりにするはずだ」

「HPVの感染からがんになるまで15~30年の時間差がある。ほとんどの国で06年からワクチンを使えるようになった。予防効果が統計的に実証できるのは2020年ごろ以降だ。効果の実証には時間がかかるが、HPVワクチンは公衆衛生の観点から非常に重要だ。日本を含むいくつかの国の政府がワクチンを積極的に普及させていないことは嘆かわしい」 
日本経済新聞より

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