2011年10月9日日曜日

韓国経済も危機の様相

2011年に入ってから、中東の暴動、イギリスの暴動、日本の脱原発デモ、アメリカで反ウォール街デモと、世界中の国民が政府に対して不満不信をぶつけるようになっている。


韓国でもまた9月29日から学費半額化を求めるデモが行われて暴走して大混乱している。9月30日、ついにソウルの都心が占拠されて交通が麻痺、警察が出動してデモ隊排除のために高圧放水砲を発射する事態になった。

韓国の急激なウォン安と株式市場下落

このデモは突然はじまったのではない。今年6月にも起きていて、そのときも暴動のようになり、李明博大統領の退陣を迫っていた(日本では報道されなかった)。
2011年に入って韓国経済は貯蓄銀行の崩壊に端を発した経済危機の最中にあるが、世界経済が失速しはじめている夏以降から韓国経済もさらに悪化してきた。
ウォンについては、9月後半から「暴落」と言っても近い様相で、それが輸入食品の高騰につながり、国民の生活を直撃している。
ウォン安はUSD-KRWではなく、KRW-USDで見たほうが分かりやすいと思うが、ここ1年の推移で見るとドルに対してウォンは以下のように「急激に暴落」しているのが分かる。

急激な暴落をしたウォン

韓国株式市場も、2011年10月4日の今日の朝の段階で、一時は5%を超える下落率になっており、プログラム売買の取引を強制停止させている。今年に入ってから4度目だという。上下の振幅が非常に激しいものになっていることが分かる。

8月に入ってから急激に落ち込んだ韓国株式市場

ところで、ウォン安はもちろん韓国の国策である。日本の政治家の「円高という無策」は韓国には非常に歓迎されていて、それによってサムソンや現代のような韓国系輸出企業は競争力をつけて日本企業を駆逐することが可能になった。
日本の政治家が韓国のためにわざと円高政策を取っているという人もいる。しかし、他国を利するために自国企業を犠牲にする政治家はいない(はず)。恐らく、偶然なのだろう。
しかし、そう思われてもしかたがないほど日本の政治家は円高是正に消極的である。
その点、韓国は国益の追究に一直線だ。しかし、ウォン安は韓国の国民のためではなく、韓国企業のための方策だった。韓国企業と韓国政府はまさに一体化して動いている。

「注意」から「警戒」に

しかし、急激なウォン安は資源のない国には輸入食品の高騰につながる。物価上昇は国民生活を直撃する問題であり、その不満は容易に政府に向かっていく。
2011年1月から中東で起きたデモ・暴動・政府転覆は「物価高が直接的な原因になった」ということを知っていれば、今、韓国で起きている激しいデモは、やはりアメリカの反ウォール街デモと同じく、非常に危険な兆候であることが分かる。
このような物価高を理由にしたデモは、何度でも何度でも起きる。そして、共鳴者はどんどん増えていく。そのたびに政府は追い込まれていく。
恐らく政府はこの急激なウォン安を是正するために手を打たざるを得ないが、それに失敗すると一気に崩落が来る可能性も出てきた。韓国もまた日米欧と同じく追い込まれているのである。
韓国は1997年12月にデフォルト寸前に陥ってIMFの救済を受けているが、危機を放置すれば国難の再来だという声も多い。
先週の金曜日、2011年9月30日。韓国の金融監督院は、市場対応体制を「注意」から「警戒」に引き上げたと中央日報は報じた。

韓国の金融市場対応態勢、「注意」から「警戒」に格上げ

当局の市場対応態勢は「警戒」段階に高まった。「警戒」は、金融監督院が内部で評価する「深刻」に次いで2番目に危険な段階。金融監督院は下半期に欧州財政危機が本格化すると、危険度を「注意」段階に高めたが、最近の不安定な世界金融市場に合わせて、さらに一つ格上げした。
                      DarKness of ASIAより


韓国経済は輸出を国策として、国内の産業を育成してきた。超ウォン安は国策で輸出企業に取っては、世界中に安い商品を提供し利益を得てきたが、ここに来て世界経済の落ち込みで、輸出がが振るわなくなってきた。日本は円高を容認し、韓国はウォン安を容認し世界に製品を輸出している。これでは日本製品が負けるのは当たり前である。元々土俵が違う。同じ製品を半値以下で買えるのなら、サムソン、LG製の商品を買うに決まっている。
しかし、そのウォン安が輸入品を高騰させている。物価高である。韓国国民の怒りが頂点に達している。韓国の銀行も封鎖されたり、倒産の銀行が増えているとのことである。このような、ことは一般のマスコミは報道しない。これも不思議な現象である。
隣国の経済も一歩間違えば、崩壊の道を歩むことになる。

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