2011年10月23日日曜日

モラトリアム法の期限が来年3月末で終了

“モラトリアム法” 来年3月末終了で45兆円「時限爆弾」炸裂

NEWS ポストセブン 10月17日(月)16時5分配信

野田佳彦政権が誕生した直後から、銀行が不良債権処理を急いでいる。いま何が起きているのか? 大前研一氏は、中小企業の事業主や住宅ローンの借り手を支援する目的で2009年12月に施行された「モラトリアム法(中小企業金融円滑化法)」の期限切れが、来年3月末に迫っていることと密接に関係があると解説する。

モラトリアム法は中小企業などに対する貸し渋り・貸し剥がし対策として当時、金融担当相だった亀井静香・国民新党代表のごり押しによって成立した法律で、中小企業の経営者や住宅ローンの借り手から返済の一時猶予や金利引き下げなどの相談があった場合、それに応じる努力義務を金融機関に課すとともに、借り手が破綻した場合は貸し倒れの40%を公的に保証する、という内容だ。

 当初、2011年3月末までの時限立法だった同法は、1年間延長されて現在に至っている。

では、モラトリアム法が再延長されないで、来年3月末に終了したら何が起きるのか? 中小企業向けに実施されている45兆円の中には資金回収が困難な不良債権(モラトリアム法施行の前までは要管理先や破綻懸念先に分類されていたものを含む)が、相当あると思われる。

モラトリアム法という“生命維持装置”を利用することで延命されてきた中小企業は、借りていた金額の元本と金利の返済を再び求められれば、即刻ご臨終(倒産)となるだろう。

なんとか生き延びたとしても、モラトリアム法が施行されて以降、日本の景気が良くなったり、需要が上向いたりしているわけではなく、逆に円高や東日本大震災で業績が悪化している中小企業が増えているので、相当数の会社が正常先から要管理先や破綻懸念先に変わる(戻る)と考えられる。

そうなれば、銀行は巨額の貸倒引当金を積み増さねばならなくなる。これは、せっかく経営が改善したかのように装った銀行にとっては避けたい事態だ。資本が脆弱な地方銀行の中には、貸倒引当金の重さに耐え切れず、破綻の危機に追い込まれるところが出てくるだろう。

だから銀行は、要管理先や破綻懸念先に分類されて貸倒引当金の積み増しが必要となる中小企業については、できるだけ来年3月末までに破綻処理をしてしまおうと躍起になり、担保の不動産を投げ売りしているのだ。来年4月以降に貸し倒れになれば100%銀行の負担になりかねないが、モラトリアム法の期限内であれば貸し倒れになっても40%は国が負担してくれるからである。

ということは、これから半年間、銀行の貸し渋り・貸し剥がしが復活し、中小企業の倒産が激増することが予想される。そして国が負担する40%のツケは当然、国民に回ってくる。言い換えれば、いま銀行は国民にツケを回そうとしているわけだ。

要するにモラトリアム法は、本来なら潰れていたはずの中小企業にひと時の夢を見させたにすぎず、夢から醒めた時には45兆円分の“時限爆弾”が炸裂するのである。しかも、それを避ける方法はない。

資本主義社会は「潰れるものは潰す」というのが基本ルールなのに、それを逸脱し、社会主義的な法律を作って問題を先送りにした以上、どこかでシワ寄せが来るのは当たり前なのである。

※週刊ポスト2011年10月28日号より


モラトリアム法が来年3月末で法律が終了する。中小企業などに融資していた、資金を今銀行が回収を急いでいる。金額にして45兆円その中には不良債権化した金額も含まれているので、回収不能な事態も想定される。地銀などの資本力が脆弱な銀行も回収不能となれば、銀行も潰れることになるその為に、今は回収を急いでいるようである。
中小企業は、返済できなければ倒産の憂き目に遭うことになる。失業率が、今の水準を維持しているのも、今の法律があるおかげであるが、それが期限切れになれば、リストラ、首切り、倒産という事態になる。不況がさらに深刻な事態になる恐れが出てきた。再度、延長になるのか、それともこのままモラトリアム法が終了するのか。時限立法の再々の延長はあるのか、ないのか。今のねじれ国会では、再々延長は難しいかもしれませんが、中小企業を救済するために、再々延長をするかもしれません。国会で紛糾するかもしれません。
カンフル剤をいつまでも打ち続けることは、どうなんでしょうか。資本主義国であるはずの日本が社会主義的な政策をすれば、その付けが、いつかは国民負担となって降り注ぐことになります。混乱を避けるために再々延長をするでしょうね。銀行はたまったものではないでしょうが、最終的には国が支援してくれるので、渋々OKするでしょう。

それと、中小企業緊急雇用安定助成制度も終了することになる。そうなれば輪を掛けたように、中小の資金繰りが苦しくなり、首切りが加速することになる。

来年は、激動の年になりそうである。チャイナリスクの増大、日本の不況の深刻化、さらにユーロ圏のソブリン危機、米国は量的緩和(QE3)をするかもしれない、そうなるとドルが世界中にじゃぶじゃぶになり、インフレがさらに酷くなり、食料品など日用品が値上がりすることになる。世界中で食料品の値上がりで飢饉が広がる恐れがある。何かの切っ掛けで世界が大混乱することだけは避けなければならないが、一度「ご破算」してやり直すのも一つの選択しかもしれない。

日本もギリシャのように、デモが頻発する事態になるかもしれない。国民は不必要なものは一層買わなくなり、節約に努めるので消費が上向かなくなり、スパイラル的に不況が深刻化していく。国の税収も今以上に落ち込めば、国債を大量に発行しなければ、予算が成立しなくなり、国債の暴落も視野に入れなければならない。どのようにして生き延びようか…。

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