2018年5月18日金曜日

ダイキン、ベトナムで技術者1万人養成

ダイキン工業は18日、ベトナムのハノイ近郊で最新鋭のエアコン工場を開設した。技能訓練施設も併設し、エアコンの生産や据え付け工事、メンテナンスを担う技術者を2020年までに1万人養成する。急成長するベトナム市場でエアコンを普及させるのはもちろんだが、勤勉な国民性を生かしてグローバルで活躍できる技術者を育てる「道場」にする狙いだ。将来はベトナムで育った技術者が日本に逆輸入されることもありそうだ。

「世界で培った技術を伝えたい」。同社の冨田次郎副社長は18日の記念式典で強調した。技能訓練施設では、エアコン内部の配管を合金(ろう材)で溶接するろう付けの技術や住宅への据え付け作業といった実技も学べる。1万人の育成計画のうち大半はベトナム国内の販売店などから人材を受け入れる予定。さらに優秀な技術者を確保するため、名門のハノイ工科大学など教育機関との連携も検討する。

新工場では溶接や組み立てといった主要工程をそれぞれ一連の作業としてモジュール化した。主要工程の作業台は同じ長さで統一され、電気配線などをつなげばすぐに作業できる。レゴブロックを組み立てるように短時間で生産ラインを変更可能だ。臨機応変にラインを変えられる利点は、天候に大きく左右されるエアコン需要への対応力の高さにある。昨年5月に稼働した米テキサス州の大規模工場で導入した設備と同じだ。

さらにあらゆるモノがネットにつながるIoT技術も活用した。センサーで各作業工程の所要時間をリアルタイムで確認して設備不良や作業の遅れを早期に把握できる。ダイキンは世界各地の工場に同様の生産設備を導入する計画で、ベトナム工場で育成した技術者が活躍する場が広がりそうだ。

技術者の育成は生産現場だけに限らない。エアコン業界では先進国を中心に機器を設置した後のメンテナンスなどサービス対応力が問われている。ダイキンはホーチミンにも20年に100億円を投じ、技能訓練施設やショールームを備えた新本社を開設する。ベトナムをメンテナンスなどサービス面の技術を持った人材を海外に派遣する拠点にもする考えだ。

ダイキンはアジア(中国除く)の空調事業の売上高を19年3月期に前期比9%増の2740億円に増やす計画だ。空調全体に占める割合は1割強だが、米国と並ぶ最重要拠点と位置付ける。ベトナムでの売上高も500億円規模に成長した。十河政則社長は「中間所得層の拡大を背景に中長期的に空調需要が旺盛だ」と期待する。その成長を支える人材をどう育成し、確保するのか。ベトナム工場での取り組みの成否に注目が集まる。日本経済新聞より

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